―善・・・きみはどこにいるの?



「何時かの約束」



突然現れた少女、ダルクと旅をすることになった僕たち。

先は見えない。

ただ、この「黒い羽」が善へと繋がることだけは確信していた。

すると、前の方に見慣れた姿を見た気がして、僕は眼を奪われた。

「善・・・なのか?」

その姿は光に包まれていて、一瞬僕のほうに笑いかけている様な感じだった。

何かを言っているようだが声は聴こえない。

最後にふっと笑いかけてその光は消えた。

「なんだったんだ・・・」

不思議そうに皆は僕のほうを見つめている。

「今、善が、いた、きがしたんだ。」

ふいにあの日の約束を思い出して、一滴の涙が落ちる。

そう、あれは・・・

僕たちが出逢った日・・・




―5年前


僕は相変わらずこの手に埋め込まれた刀と、自分の能力を憎み、心を閉ざしていた。

僕は人の心が読めてしまう。

だから周りの誰もが僕に近づくことをやめた。

家族すらも。

気味悪がって傍に寄ろうともしない。

毎日毎日、部屋に閉じこもってばかりいた。

自分が憎くて、運命をうらんだ。

他の子ども達の様に、外で元気いっぱい遊んだり、他愛無い話をしたかった。

外に出れば、邪魔者扱い、罵り。

次第に外に出るのが怖くなっていった。

泪を流しては怒り、怒っては泪を流す。

この繰り返し。

そんなとき、障子に誰かの影が映った。

通り過ぎるのかと思いきや、僕の部屋の前で、止まった。

また誰か僕を笑いに来たのかと、視線をはずした。

すると、障子を開けようと手がかかった。

僕は急いで障子を抑えた。

「・・・ッッ」

声にならない声が聞こえた。

障子と障子の間に指が挟まったのだ。

それでも、僕は力を緩めなかった。

「・・・痛いんだけど・・・・可南・・・。」

「気安く僕の名前を呼ぶな。」

なんだかわけがわからなくて、涙が滲む。

この世で僕の名前を呼ぶやつはいない。

もう、いない。

僕はいらない存在だ。

そう、思っていたから。

「何度でも呼ぶよ、可南。僕は君を連れ出しに来たんだ。」

「・・・?」

力を緩めた瞬間、障子が開かれ、僕はそいつの腕に包まれていた。

「な、なにをす・・・・」

「可哀想な可南。こんなところに閉じ込められて・・・」

意味がわからない。

でも、次の瞬間、奴の心が見えた。

でも、今までの奴とは違う。

奴の心にあるのは、僕を連れ出したいという思いだけ。

他の邪念はひとつもなかった。

「なんで・・・こんな僕のために・・・」

嬉しいのか哀しいのかわからないが、涙が溢れてくる。

「僕には君が必要だよ。もう誰にも君をいらないなんて言わせない。僕と一緒に行こう?」

その心に迷いはなかった。

暖かい、光のような心だった。

「もう、君を泣かせないって、誰にも泣かせないって、約束するから。もしも君を泣かせることがあったならそれは僕が泣かせる時だけだ。」

僕は、信じてみることにしたんだ。

もう、泣かなくていいんだと。

もう、誰からも隠れて暮らさなくていいんだと。

「僕は、嵐山善だよ。善て呼んで?」

「わかった。僕は・・・可南。」

「知ってる。」

「善」はくすっと笑うと、僕に手を差し出した。

そうして、善と、家をあとにした。―




「そのあとだったね、君たちと出逢ったのは。」

零れだした泪を拭って、僕は答えた。

すっかり日は落ちていて、赤い焚き火の炎が僕たちを暖めていた。

月は星たちとともに暗い闇夜を照らしている。

「そうねーあたしも初めて逢ったときはびっくりしたわ。名前を言う前から知ってたんだもの。」

亜璃魔が口を開く。

「僕はこのチカラが大嫌いだった。読まなくてもいい負の心まで読んでしまうから。」

あれから善の姿も見なければ、敵、と思える奴等もいない。

こういう時間が一番すきだ、と僕は思う。

そんな、和みのひと時を過ごしていた矢先、後ろの茂みでガサガサという音がした。

「だ、ぁ、れ?」

亜璃魔が不機嫌そうに、でも戦いたくてうずうずしているかのように問いかける。

そして、彼女の武器であるステッキを音のしたほうに向ける。

出てきたのは・・・全長2メートルもある化け猫だった。

「「黒い羽・・・黒い羽を渡せ・・・我等は羽を狩る者。・・・さもなくば、始末するのみ。」」

心の底に響くようなしわがれた声で言い放つ。

「ふうん。きみは善とは違う組織だね。何企んでるかは知らないけど、渡せないなぁ。」

くく・・・とあざ笑うかのように可南は言った。

「「ならば・・・死ね。」」













next......


中書き。。。。。。。。。。。。。。。


ちょっと可南と善くんの昔話を入れてみました。
パクリぢゃないですよ・・・??
さぁて、お次は戦闘モードですね。
勝敗ゎいかにっっ←


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